鮫町でウミネコのカミサマに出会う

 あ、屋根にとまった鳥は…ウミネコ!?
 ここは八戸市の中でも海沿いのまち・鮫町です。

 水産加工会社さんを取材した帰り道、「スーパーみなとや」そばで、小さな魚屋さんを見つけました。

 道路に面したガラス張りの一角では、魚を炭火で焼いています。1本1本竹の串に刺さったお魚たちは、どれも食べごろ。お店の中には海の幸を使ったお惣菜も並んでいました。それも、「たらの子炒り」や「すき昆布の煮つけ」といった伝統的な港町の郷土料理ばかり。

 看板には「西野魚店」。その下に「西野自動車整備工場」。どちらも手書きです。
 昭和の港町の風情そのままのこういう場所が、八戸にはところどころあります。

 港町がいちばんにぎわった時代を知らないのにこみあげる、この懐かしさとあたたかさはなんでしょう? 入らずにはいられない引力がありました。

 「いつまで続けられるか分かんねぇ」なんて弱気なことを言ったりもするけど、なんだかんだで仕事が大好きな西野のお母さん。お姑さんから引き継いだお店を、たった1人で30年以上も守ってきたのがその証拠というものです。

 話している間に、ウミネコがお店の入口まで踏みこんできました。そうとう慣れているようで、飛び立つ気配も見せません。

 「時季さ(に)なればいっつも来るよ。毎年おんなじやつなんだか、そうじゃないんだか、分からないけどもさ…。先祖代々伝えてるんだべねぇ。『困ったときはあそこさ行けば大丈夫だ』って」とお母さん、笑います。

 そういえば、ウミネコは1年中見られるものではありません。
 繁殖地として天然記念物にもなっている「蕪島」には、春の訪れとともに約3万羽ものウミネコが飛来。
 蕪島で恋と子育てにいそしんだ後、北国の短い夏を連れて去っていきます。

 そんなウミネコを、毎年、毎年、養っては見送っているんです。
ウミネコ界ではきっと、西野のお母さんはカミサマとしてあがめられているに違いありません。

 やさしい微笑みをうかべ、夕日に照らされたお母さんの横顔。カミサマはひょっとしたら、こんな顔をしているんじゃないか?


 
 

 

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