コーヒーがまんなか 〜ばんかむ

春の終わりに初めて入った喫茶店。

磨き込まれた木のカウンター。
低く流れるジャズ。
漂うコーヒーのアロマ。

これぞ正真正銘の「喫茶店」だ。ここは青森市役所裏、国道から路地を少し入ったところ。
こういう喫茶店は、八戸にはあまりない。

喫茶店に必要なものをあげるなら、マスターの個性と長い時間の堆積が作り出す、その店独特の空気だと思う。
全国チェーンのコーヒーショップは、そこに集まる誰のものでもないけれど、喫茶店はマスターのもの。
喫茶店に入るのは、ある意味ではひとの家におじゃまするようなものだから、初めての店では緊張もする。
でも、その緊張感がけっこう好きだったりする。

ランチセットは680円。
メインのサンドイッチは10種類以上の中から選べるなんて、気が利いている。
ホットサンドの「メキシカン」が気になったので、頼む。

数分後。ランチセットがテーブルに置かれたとき、心の中で小さくガッツポーズをした。

トレイのまん中にコーヒーが載っていたから。

たとえ“ランチセット”の中にあっても、「ウチはコーヒーの店なんです」
マスターの声が聞こえる気がした。

芳醇な香りを思いきり吸い込む。
コーヒーの後味は軽めで、コクがある。飲みやすいけれど深い。

こういうお店に限って何を食べてもおいしいんだよな。

はたしてホットサンドも、パンの耳とジャムのつけあわせも、ヨーグルトも、サラダも、すべてにとても満足した。

昭和37年に開店したというから、51年め。
すごいスピードで変わり続ける時代の中でも「ばんかむ」がずっと親しまれてきた、その理由が、少しだけ見えた。

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