行列の出来る、しおてば~大安食堂
朝市名物”しおてば”
館鼻岸壁朝市の〈大安食堂〉、ではピンと来なくても、毎週行列のできる「しおてば」の店というと分かると思います。
ニワトリのキャラクター「こけここ」と、毎週できる行列が目印です。
塩味の鶏手羽肉の唐揚げ「しおてば」をはじめ、もも肉の唐揚げ「しおももた」、メンチカツ、コロッケ、ゆでたまごの上に雪山のように塩がかかっている「塩たまご」など、揚げものを中心としたメニュー。
ボリュームと安さ、それにオリジナルの味付けがおいしい!と3拍子そろっていて、毎週ほとんど完売。「しおてば」は5時半、そのほかのメニューもだいたい6時半には売り切れ状態なのです。
レゲエバーから大安食堂へ
今ではすっかり朝市名物になっている大安食堂の店主・荒澤忠明さん、しかし6年前までは八戸市中心街でレゲエ・バーを経営していました。サーフィンはプロを目指していたほどの腕前、スノーボードは流行前から熱中していたという、意外な顔がありました。
仲間に囲まれ、お店も順調でしたが、お店のパートナーでもある弘美さんと結婚し、子どもができたことが転機となります。
夜型から昼型へ生活を変えようと決め、ラーメンをメインにした「大安食堂」を開くことにしました。
ダシ用の鶏ガラを取るため、丸々一羽を毎日さばいているうち「鶏の扱いがうまくなっちゃって。すごいな、オレって(笑)」と、次第に他の鶏肉メニューにも腕をふるいはじめます。
塩味のから揚げが大好評となり、『カリカリおいしいチキンのお店』として定着しました。
さらにオリジナルのから揚用の調味料も開発し、「しおてば」は納得のいく味になるまで3年かけたそうです。
お客さんのために、Go! Go! チキン
大安食堂が朝市に出店したのは2009年春から。
当初は「本当に人が来なくて、ヒマだから飾りつけばっかりしてました(笑)。
何で隣のおばあさんの店に負けるんだろうって、オレ、思ってました」と、荒澤さんは苦笑いします。
朝市に出店して1〜2年は「『今日の揚がり具合いいな』とかそんな感じで、自己満足の世界(笑)」
2011年3月、大安食堂が館鼻岸壁朝市に出店して3度目の春に、東日本大震災が発生します。
それから数日間、荒澤さんは放心状態だったといいます。
「停電が復旧してすぐにお店開けても、だ~れも来ない。お店と家族置いてボランティアにも行けない」
無力感を感じながらも臨時朝市にも出店し、そして7月、館鼻岸壁朝市がようやく再開しました。
待ちに待っていたお客さんたちが、どっと押し寄せ、多くの人が「しおてば」を求めて行列をつくるようになりました。
自分のためにやっていたところがあったと言う荒澤さんは、この時に、あらためて、来てくれる人のためにがんばろうと、決めたのです。
最初はダッチオーブン1台だけで始めた朝市店は、今は専用フライヤー4台。今年になって、出張用に小型ワンボックス〈ゴー! ゴー! チキン号〉も始動させました。
「人気の理由? 安いだけじゃない?」なんて本人は謙遜しますが、小さな工夫を重ねて、ますますファンを増やしています。
食べられるといいね、大安食堂の唐揚げ。あなたの幸運と、早起きを祈ります♥
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