“九州のケンタロウ” 研究者が見た館鼻岸壁朝市 〜熊本大学 沿岸域環境科学教育研究センター
3月24日、午前3時半。夜明け前の薄暗闇の中、零下まで冷え切った館鼻岸壁に、1台の自転車が停まりました。降りてきた森本剣太郎さんは、駐車場の出入り口など、数カ所に定点観測用カメラを取り付けていきます。森本さんは、熊本大学沿岸域環境科学教育研究センターに所属する工学博士。研究テーマは幅広く、「朝市サミット」で講演を行うなど、朝市研究に関してもプロフェッショナルです。北は函館から、鮪で有名な神奈川県の三崎や、風情と伝統ある飛騨高山など、ときにバイクで、ときに自転車を駆使して日本全国の朝市を駆けめぐる日々。
今回も、秋田の五城目朝市や盛岡の神子田(みこだ)朝市を回った後、八戸入りしたのが前日夕方。夕食の席では熱燗を水のように飲んでいた(!)というのに、疲れをみじんも感じさせない軽快なフットワーク。
九州男児の研究者魂は、熊本城城主・加藤清正公にも通じる熱さがあるようです。(ちなみにご出身は長崎だそうですが)
出店者の準備のようす、駐車場の場所や台数、人の流れ、行きかう人々が買ったものなどを次々に一眼レフに収めていた森本さん。ただし、いつも行っているアンケート調査は断念。性別、年齢、交通手段や目的を記入するという詳細なものでしたが、あまりの人出にお手上げ状態、だそうです。
「500年とか1000年とか歴史の長い朝市は風情があるけど、組織ができあがっていて若手が入り込めないこともある。発展してる朝市っていうのは、若手ががんばっているところが多いんだよね。その点ここは、出店者もお客さんも若いし、年代も広い。日本一と言ってもいいかって? 間違いないでしょうね」
下は0歳から上はお年寄りまで。おひとりさまからカップル、家族連れまで。常連さんから一見さんまで。こんなに幅広い年齢・性別の人たちが集まる朝市は、全国でも珍しいとか。
さらに50店舗を越えれば『大型』に分類される朝市の世界にあって、約350店舗が毎週出店する館鼻岸壁のスケールはケタ外れだと、森本さんは評価します。
毎週通っていると当たり前のように思えること。当たり前に足元にあるものが、本当は奇跡的ともいえるくらいの宝物なのだと、あらためて気づかされた瞬間でした。
すっかり日が昇ったころ、行きかう人の波を見つめながら、森本さんが面白そうに言いました。
「この人たち、なんで日曜の朝からわざわざ早起きしてここに来るんだろう!?」
じつは、毎週通っているユキパルチームにだって本当のところは分かりません。ある意味では、もっとも根本的にして最大の館鼻岸壁朝市ミステリーなのですが…。この謎は朝市研究のエキスパートによって、解明されるかもしれませんね。楽しみに待ちましょう!
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