おしゃれなメガネ男子は、ネイティブ南部弁〜大渡餅菓子店
黒縁メガネがおしゃれな大渡秀雄さんは、高橋豆腐店の高橋さんと同じ岩手県北・二戸市の出身です。
15歳から八戸でお菓子づくりを始めて、この道ひとすじ60年以上の大ベテランです。
館鼻岸壁朝市が移転する前、山手通りで開催していた時から出店しているから、朝市歴も20年以上になります。
大渡さんが米、きなこ、水あめだけを使って作る「ごぼう」(八戸弁では「ごんぼ」)や「切りごぼう」(「ごぼう」を切ったもの)、「ひねり」(「ごぼう」を少しひねったもの)は、昔から八戸で食べられてきた伝統的な駄菓子。
着色料を使っていないから、きなこの色そのままの2色です。やさしい甘さにきなこの風味が加わった、素朴なおいしさ。全国的には緑色のきなこは珍しいようですが、八戸ではきなこといったら緑色のほうがスタンダードです。
季節によって作り方を変えるのが、大渡さんのこだわり。
夏場は水あめを煮詰めて水分を少なくし、保存がきくように。
冬場は水分を多めに残して、固くなりにくくしています。
「はい、おつり。800まんえ〜ん!」と大渡さんがギャグを飛ばすと、「ホントに800万円だったらよかったのに〜(笑)」とお客さん。
「それだったらもっと買わねぇばな(買わないとね)!」
すばやい切り返しがお見事!
トコトコやってきた2歳の女の子には、「ひねり」をナイトのように差し出してサービス。
「嫁さ来れば、いくらでも食わしてやるすけ(食べさせてやるから)、おらほさ嫁にコ(おれのところに嫁に来い)!」と熱烈プロポーズが飛び出しました。
イサバのカッチャの女子会に参加したり、おとなりの揚げもの屋さんのカッチャがおすそわけをくれたり。女性に人気がある大渡さんだからこそ、サラリと言えてしまうのでしょう。さすが、です。
「また寄るんだぞ。また、しゃべるべしな(しゃべろうな)」
帰り際に声をかけてきた大渡さんは、少しだけ寂しそうです。お菓子作りの後継者がいないというお話には、胸がちくりと痛みました。
「朝市さ来たら、しゃべんねぇばつまらねぇぞ。ただ買うんでなくてさ」
そう。これがまさに、館鼻岸壁朝市を楽しむための極意です。
大渡さんのネイティブな南部弁は、地元の人以外にはヒアリングが難しいかもしれませんが、大丈夫!
『この世界の共通言語は、英語じゃなくて笑顔』ですから。
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