愛すべき "おやんず”たち
4月15日、6時。ダウンジャケットにムートンのブーツでちょうどいい朝。それにしても、寒い。ふらふら吸い寄せられるように、足は薪ストーブのほうに向かっていました。薪ストーブ? そう、館鼻岸壁朝市には、地べたに薪ストーブを置いて暖をとっている人たちがいるのです。60~70代とおぼしき、おやんず(=おやじ、の八戸弁)5名。なぜか全員キャップ着用。ストーブに手をかざした私に、「コーヒー飲むが?」と、甘いホットコーヒーを差し出してくれました。
おやんずA「かかぁ死んでから何年になる?」
おやんずB「はぁ(=もう、もはや)8年だじゃ」
おやんずC「おらぁ、はぁ13年だ」
ユキパル女(じょ)「…(しんみり)」
おやんずC「あんだ、若い人紹介してけんだ(=あなた、若い人を紹介してくださいよ!)」
ユキパル女「えっ!? あ…、いやぁ、今ちょうど、友達もみんな売れちゃったところなんですよ。あと40年待ってくれたら、ダンナがあっち逝くんですけどねぇ」
おやんずB「そしたら、わぁんどが死んでしまうべ! 今だって恐山さ片足つっこんでらんだもの(笑)。(=そしたらおれたちが死んじゃうよ! 今だって半分、恐山に行きかけているんだから(笑))」
ワゴン車の上ではオレンジ色に輝くカナリヤが、美しい声でさえずっています。手作りの鳥カゴは、若い女の子が見ていきます。縁台に置いた盆栽だって、年配の方の興味をけっこう引いています。そう。こう見えておやんずは、鳥カゴ屋さんと盆栽屋さんなんです。いちおう。「いらっしゃいませ」とか「いかがですか」とかは、一切言いませんが…。
商売人としては〝だめんず〟。でもどこか憎めない、館鼻のおやんずたちなのでした。
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