紋は前沖サバ、いなせな袢纏~松橋商店
遊び心あふれる手作り作品
L字型をしている朝市ストリート西側に、イカののぼりがはためいているお店があります。
そこが1つ1つ手作りしている雑貨のお店の松橋商店。
店主の松橋祐子さんは、青森県と岩手県の県境、軽米町で生まれ育ち、和裁学校で学ぶために八戸に住みはじめました。呉服店で働いて腕を磨き、結婚を機にものづくりの現場から離れていましたが、5年ほど前から館鼻岸壁朝市に出店しています。
お店には、この布製のイカ幟(のぼり)のほか、布ぞうりや銀サバストラップなど、遊び心あふれるオリジナルグッズが並んでいます。
そんな松橋商店で、おもしろいものを見つけました。
少しでも笑って、楽しんでもらえるものを
火事と喧嘩は江戸の華、祭りと銭湯は八戸の華(「江戸」と「八戸」って、文字が似てますね)!
背中に八戸前沖サバの紋、右手にぞうり、左手に漁網を持った威勢のいい「袢纏(はんてん)」です。
「なんだか作ってみたくなって」
祐子さんは大きな瞳を朝日にきらめかせながら「うふふ」とほほえみました。
八戸では七夕祭りや三社大祭が終わり、8月末には花火大会がやってくるところ。
お祭りシーズンまっただなかの楽しい気持ちが伝わるはんてんです。
店先に下げると目ざといお客さんがさっそく見つけて、買い求めていきました。
それから、こちらは、しょいかごからにょっきりと突き出た赤い魚(右)と、青いしっぽ。
赤い魚は「焼いた八戸前沖サバ」。
青いしっぽは「食べられちゃった八戸前沖サバ」!。
しっぽだけになったサバは、「悲しくなってサバの涙を流してるの〜(笑)」のだそうです。
暗い話題が多い時代だから、少しでも笑ってもらえるものを作りたいと、祐子さんは話します。
海も山も川も街も、ぜ〜んぶそろった八戸の豊かさ
はんてんの背中やサバのしっぽ、松橋商店の小物にはたいてい「八戸」の文字が入っています。
それは祐子さんが、手作り雑貨を通して八戸をPRしたいと考えているから。
「八戸は、海も山も川も街も、ぜんぶ揃っている贅沢な場所。地元の人は当たり前になってしまって、その豊かさに気づいていないからもったいないわ」と、言葉に力を込めます。
そんな祐子さんの、お気に入りの場所は、種差海岸。
「贅沢なリゾートよね。(訪れる人には)どうぞなんにもしないでゆっくり芝生に寝そべってくださいって案内すると、みんなすごく喜んでいる」
たしかに広々とした芝生の先に太平洋が広がる景色を、東山魁夷、司馬遼太郎といった多くの作家・芸術家が作品に残しています。
祐子さんの言葉を聞いて八戸の宝物(びんてーじ)、種差海岸を久しぶりに訪ねようと思ったのでした。
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