朝市なう

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「心」は宇宙をかけめぐる


ラスコーの壁画

 前回からの続き。広い意味での芸術はいつから始まったのかを考えると、人間が旧人類から分かれて10万年前に生まれた新人類(ホモ・サピエンス)が誕生した時から始まったと言います。
 見た目はそれほど変わらない新人類が、旧人類と決定的に違うのは大脳内部のニューロン(神経細胞)の構造で、それまで接続がなかったニューロン間に新しい接続のネットワークが生まれたとか。

 大事なのは、その通路を通して「心」としか言いようのないものが流動しはじめたということです。
 それまで別々の領域に分離されていた働きが一つになり、比喩の能力を得て、象徴というものを生み出し、そこから宗教と芸術が誕生した、というのです。
 生物進化の過程で、人類は「心」というものを3次元の物質的な現実世界に現すために、脳というメディウム(媒体)をデバイス(装置)として必要とした——。
 脳の機能が働くのは3次元の世界であり、心の空間はもっと高次元。いったい心は何を目的として現れたのでしょうか?
 3次元の現実世界を壁画という2次元の平面に抽象して表現する行為の中にあるのは、宇宙の根源、人類の根源を見つめることだと言うのです(中沢新一『なぜ、いま脳が注目されるのか~時代は芸術の再編を求めている』)。


朝市スナップ01


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