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緊急提言。アスリートパラダイス都市宣言をせよ!〜八戸学院大学学長・大谷真樹 第5回


大谷真樹トレーニング

悲願であった長根総合運動公園への屋内スケートリンク建設が具体的に前進した事は、万歳三唱に値するほど実に喜ばしい。推進にリーダーシップを発揮された小林眞市長の肩を揉みたいくらいだ。
しかし、単に「ハコモノ」予算を勝ち取ったありがちな地方行政の愚とは大いに違う八戸の輝く未来への布石となる事業につき、戦略的な具体的提言をここに記せねばなるまい。
私はお金をかけずに優位性を創りだす「ゲリラマーケティング」の研究実践者であり、わずか数千円のGパンで大きな差別化とブランディング効果をひねり出しているのだ(笑)。
「既に起きた未来」として少子高齢化の流れは変える事は不可能であり、青森県は全国の中でも高齢化カーブは大きく、全国的な首都圏偏重の傾向は薄まるどころかむしろ加速するであろう。全国の地方都市は様々な活性化策を試みるが、どの策も決定打に欠け、縦割りの省庁予算主導で施策は似たような横並び、そして血税による予算は無駄な分散バラマキ。
結果、年度内でアウトプットされるものは、良くわからないイベントやフォーラムとポスターや誰も読まない厚い実施報告書。そして何故かゆるキャラ。

断言しよう。ゆるキャラやフォーラムで地域の未来は変えられない。
また地域住民も熱意を持ってご当地のグルメや観光資源をPRしている。その活動には心から敬意を表したいが、残念ながら素晴らしい景観、自然、美味しいご当地の食べ物、おもてなしは全国どの地域にも誇りとともに存在し、まったく地方都市間の決定的な差別化にはならない。どんなにアートや音楽で地域を活性化しようとしてもそれも立地の優位性はあまり大きくなく、推進する活動家のリーダーシップへの依存度が高いのが残念ながら現実だ。
八戸の有する自然環境、インフラ、立地、既に持っている地域資源、経営資源、人的資源を分析すると自ずと選択と集中すべき分野が見えてくる。既に八戸が持つ健康的なライフスタイル環境や、それを支える食の魅力について本誌にて言及してきた。そこに屋内スケートリンクの朗報である。
これは、八戸は他の地方都市と圧倒的に差別化出来る戦略的な超強力な武器を手に入れた事に等しい。中核都市を狙う規模の行政予算、首都圏から新幹線で2時間台、高速道路、空路、4000室以上の宿泊施設、国立公園の海岸、山岳、健康的な食材、高等教育機関。これらの要素と国際級屋内リンクの組み合わせは他の地方都市では実現不可能である。

提言を更に具体的なものにしよう。
まず八戸は「スポーツ都市宣言」、いや、もう少し踏み込んで「アスリートパラダイス都市」宣言をすべきである。そして全国、海外からアスリートが八戸に国際大会やナショナルチームクラスの合宿に集うように行政と地域をあげてバックアップする取り組みを行う。新設される屋内リンクは国内三番目となる施設であり、帯広のように役所的な使いづらい運営ではなく、また長野のMウエーブのように中途半端な施設にせずに真に国際級のアスリートが集まる施設にすべきである。

① 朝6時から深夜23時までアスリートにリンクを開放すること。
② 科学的トレーニング研究施設など設置し、ナショナルトレーニングセンターを誘致すること。
③ 定期的に国際スケート連盟公認の記録会を開催すること。
④ コンサートなどの単発的興行を意識して、設計をスケートの記録が出にくいリンクにしない事。単発的興行であれば市民公会堂や体育館で十分である。
⑤ 運営収支をリンク単独で評価しないこと。
加えて旧リンク跡地を緑地公園化する議論がされているが、断固反対である。
スポーツ関連の施設は長根地区に集中させる事で差別化や優位性が生まれるのであって、その武器を捨ててどうするのか。街中から徒歩でいける国際級総合運動施設を持つ都市は世界でも稀である。こんな有り難い立地優位性を自ら放棄するとしたら信じがたい愚である。

限られた資源を分析し己の戦うべき場所を見極め、戦略的そしてゲリラ的に活用する事こそ、地方都市の未来経営戦略そのものだ。戦略的思考と行動をせずに他の地方都市と同様に荒廃していくのか、突き抜けて勝ち残るのか。
シリコンバレーでよく聞く会話に「Sink or swim?」がある。「溺れるか泳ぎきるか?」我々に残された時間には残酷にも「限り」がある。
Sink or swim?

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