1/24の世界は無限! 〜ちびっつ@
グリコのおまけ、チョロQ、マメ本などなど、小さいものはたくさんあるが、それが規格品ではなく完全手づくりで目の前に現れた時の衝撃たるや・・・それを見た瞬間に思わず笑みがこぼれてしまうというか、‘すごい’と言わずにいられないというか・・・とにかくジッと見入り引き込まれてしまう。
どんぶりの中で瑞々しい光沢を放つイクラのつぶつぶ感、パン屋のコンテナに並ぶパンの一つ一つ。
魚屋の棚に並ぶ発泡スチロールには活きの良さそうな魚と氷。
ミニチュア工房ちびっつ@の作る『ちびもの(ミニチュア)』には、精巧なだけではない‘柔らかさ’と‘抜け’があり、小さいながら手にとって確かめたくなるほどの存在感を持っている。
初めてちびっつ@の作品を目にしたのはホームページ。
そこに掲載されていた数々のミニチュアフード&昭和を彷彿させる商店のドールハウス。
作品の小ささにも驚いたが、それよりも作品が持つ空気感を実際に見てみたくなった。
「納得できるまで手抜きはしません」 1/24に込めるこだわり
工房にお邪魔すると、ドールハウス担当の雫石仁(しずくいし ひとし)さんと食べ物などを担当の明代(あきよ)さんご夫妻が作業の手を休めて出迎えてくれた。
玄関にはミニチュアと材料の山・山・山。
すでに圧倒され気味。
作業場へ。そこには材料に埋もれるように置かれたデスクがひとつ・・・。
電動系の器具は全くない。あるのは定規、カッター、ボンド。
「簡単に正確に切り出せる道具も売っているんだけど、それを使ったら面白味がないから・・・」
いいながら仁さんは薄い木板を爪の先ほどの巾に切っていく。
今は野菜を入れるコンテナを作っているところだそうだ。
パーツごとに切り出しヤスリで微調整してボンドで組み立てていく。
この細かい作業で1日に出来るのは3個が精一杯。
小さな店でもそこには無数の小物があり、その一つ一つを出来るだけ忠実に手作業で作り上げていく。
入り口の扉は開くように作り、つぼ焼き芋の壷は蓋が取れ、中にはサツマイモを置いたり、無造作に置かれたダンボールなど等、その店にあるもの、場面を忠実に再現するため、雫石さんご夫婦は何度も店や場所には通い、店主とも顔馴染みになるという。
「ものを作るときに妥協はしたくないんですよ。一箇所妥協するとそこだけ形が変になるし」
小さいものだからこそ、妥協した時のアンバランスさがはっきりと判る。
お互いが納得するまで何度も話し合い、丁寧に作り上げることが最大のこだわりと仁さんは言う。
さらに作品にストーリー性を持たせ、時空間まで再現しようというこだわりに感嘆というより脱帽だ。
古きよき八戸を残したい!
これまでお二人が手がけた作品は懐かしさを感じる八戸の街角の店や郷土料理が多い。
「八戸には絵になる店や風景、美味しいものがたくさんある。それを形で残したいんです」
八戸で生まれ育ったお二人にとって、八戸中心街は小さい頃から馴染みのある思い出の詰った場所。
まだまだ作りたい物がたくさんあるという。
もともとは小さい頃からミニチュアフード集めが大好きだった明代さんの趣味が高じミニチュアフード作りやイラストを描きはじめていた。
仁さんは明代さんにミニチュアフードの器を作って欲しいと頼まれたことと、旅行で訪れた東京の浅草仲見世の『助六』で江戸小玩具を見た時に八戸の街角を作ってみたいと思ったことからだという。
それ以来、地元八戸こだわった作品を作り、素材のディテールにこだわった南部せんべいやせんべい汁はちびっつ@の看板作品となった。
ちびっつ@を立ち上げて5年、ひとつの作品を仕上げる度に八戸への愛着が増していくという。
「色んな方との出会いやアドバイスが、ちびっつを作るきっかけで、作り続けている要素になっていますね」
ちびっつ@の作品を見て笑顔がこぼれるのは、懐かしい気持ちだけでなく、人との輪に感謝しながら作った想いが溢れているからかもしれない。
現在は超大作を製作中で年内に仕上げ、お披露目されるという。
八戸の歴史ある馴染みのある風景が再現されるその日が待ち遠しい。
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