ポール佐藤の「まちの音まちの色」第3回
七月。震災で中断していた館鼻の朝市が再開され、八戸にまた夏がやって来た。去年と同じように、七夕も三社大祭も、花火大会まで引き連れて……。うれしいね。
先日私も歌わせてもらった「はっちの七夕コンサート」。会場は子供達が短冊に書いた願い事でいっぱいだった。
「大きくなったら幼稚園の先生になりたいです」
これなどは将来の夢の定番と言えるだろう。でも今の私ならこう書きたい。
「大きくなったら幼稚園の生徒になりたいです」
我ながら面白いジョークだなと自画自賛して一人笑う。
実際のところ私が子供の頃になりたかった職業は『私立探偵』である。名探偵シャーロック・ホームズに憧れて、推理クイズを解いたり、完全犯罪のトリックを考えるのに熱中していた。
御多分にもれず、現在会社勤めの私は、少年時代の夢が叶わなかった一人ということになるが、考えようによってはそうでもないのだ。
だって生きるってことは、日常生活に散りばめられた証拠を集め、謎を解明し、真相に迫っていく行為じゃない?
とすればこうしてネクタイをして通勤しているのも、所謂「潜入捜査」であり、休みの日にホコテンで歌うのは、変装して「張込み」をしているのだと言えなくもない。
捜査の結果、どんな結末にたどり着くのかがわからないのが人生だけど。
ところで探偵といえば必ず依頼人が存在するはずだが、私にとっての依頼人とは誰なのだろう?
エッセイという名の捜査報告書を読んでいるあなた!
あなたこそ私の依頼人!?
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