八戸学院大学ジーパン学長 第10回サヴァ?鯖びあーん

何を隠そう私は「八戸鯖大使」であり、イカをPRするわけにはイカない。大学に奉職する前に職業を聞かれた時は胸を張って「大使である」と答えていたものだ。「どちらの?」「鯖だ」「?」。 八戸は「イカ水揚げ日本一」であるが、世には「日本一の鯖、八戸前沖鯖」を強く推奨したい。実は、日々食べるとしたら秋刀魚のほうが好きなのであるが、それはオフレコとしておこう。




かねてから八戸を中心とした県南地方は多種多様な食に恵まれ、またその多くは美味しいだけではなく、優れた抗酸化作用をもつなど健康という側面からも誇るべき地域資源であると紹介してきた。 豊富な野菜や山菜はもちろん、八戸港に水揚げされる魚介類もまた美味しいだけではなく、とても体に良いものが多い。 獣の固まりやすい脂より水温でもサラサラを維持する魚の脂はとても体には良い事から「タンパク質は肉からではなく魚からとりましょう」と、勝手に「シーフードベジタリアン」なる魚と野菜食啓蒙活動をしている。 が、いまいち大ブレークしない。 野菜と魚の健康的ライフスタイルは、八戸ならではの特徴︱と、現在最も注目される健康要素が組み合わされて、とても良いと思う。しかし魚の美味しい地元の居酒屋や寿司屋に入って困るのが、野菜不足。抜群の鮮度の魚が食べられるのに、野菜は漬物程度という店の多いこと。 新鮮な魚の仕入れと同じくらい力を入れて県南地場の野菜山菜などを積極的に出して欲しいのだ。そうすればオヤジたちの聖地である居酒屋もまた健康志向の女性たちに人気がでるであろう。 そもそも居酒屋はつまみの選択肢が豊富なので、様々なメニューから自分にあった食を選択するにはとても便利な存在なのだ。加えて居酒屋は禁煙にして欲しいが、せめて完全分煙を切に要望したい。健康ライフスタイル都市八戸は、タバコ税8億円が多少税収減になっても条例で飲食店の喫煙を完全禁止すべきだ。 不健康になりたい人は自宅でたっぷり吸っていただきたい。

さて八戸の誇る脂ののった美味しい「鯖」であるが、その驚くべき鯖パワーは意外と知られていない。まず鯖をはじめとした青魚が血液をサラサラにして、とても健康に良いと言われている事はご存知かと思う。 もう少し科学的に紐解こう。 血液をいわゆるサラサラにしてくれる物質はEPA(エイコサペンタエン酸)という体内で作る事ができない必須脂肪酸のひとつだ。その機能性はWHO(世界保健機構)、FDA(アメリカ食品医薬品局)からも認められたものだ。主に動脈硬化予防に効果があるのであるが、千葉大学や順天堂大学の研究によると、アスリートの運動能力向上にも大いに効果的だという事が分かった。 1万メートル走の競技でなんと51秒も記録が短縮されたとの長期実験結果もある。EPAにより血流の改善効果で持久力の向上、疲労回復効果、そして有りがたい事に抗炎症効果でアスリートの筋肉痛の軽減、関節痛を軽減する結果も実証されている。 ここ数年、世界の自転車ロードレース大会の最高峰ツールドフランスなどで優勝を争うまで急成長したチームSKYは、研究熱心な専属シェフが選手に青魚料理とお米を戦略的に提供しているということだ。これは我が八戸学院大学も積極的に取り組まなくてはいけないと、地元の缶詰メーカーさんの協力を得て、自転車競技部やラグビー部では、地元八戸鯖の缶詰を常食している。大変ありがたい地域の応援コラボだ。

鯖パワーの効果はアスリートの運動能力だけではない。なんとダイエットにも効果的なのである。 いいですか、そこの奥様とお父さん。EPAの脂質代謝の改善により体脂肪の減少に加えて、最近は、鯖を食べると「やせるホルモン」と呼ばれるGLP︲1が分泌されることにより、少ない食事量でも満足できるので、食欲が抑えられ空腹感やイライラ感がなくなる。その結果、血糖値の急上昇や体脂肪の増加を防ぐ事が分かったとの事だ。確かに鯖を食べた後は腹持ちが良いではないか。 地元の美味しい繊維質たっぷりの野菜をモリモリ食べ、新鮮な鯖を食べ、種差海岸などを軽くジョギングやサイクリングする。なんとも世界の最先端を行く健康的で幸せなライフスタイルであろう。 ぜひ、八戸での日々の挨拶は「サヴァ?(çava?:フランス語でこんにちは)」にしていただきたい。 返事はもちろん「鯖びあーん!(Ça va bien:元気ですよ)」。

 この記事は、八戸マガジン『ユキパル19』最新号に掲載されています。お求めは→こちら


マリーバコーヒー

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。