印刷物の不思議

 昔むかしは、コーヒー1杯の値段とラーメンがだいたい同じでしたから、物価の移り変わりをそれを目安にしていたとかありました。
 今はどうなのでしょう。
 ピンキリなのでしょうが、普通のラーメン1杯が500円から650円ぐらい?
 コーヒーは、コンビニとかだと100円からありますから、どこで飲むかにもよりますが、300円前後?
 ラーメンとコーヒーの値段はずいぶんとかけ離れてしまったような気がします。
 話の都合上、ちょっと強引にコーヒー1杯が350円だと仮定しましょう。
 UKIPAL本誌の価格が1冊350円。1冊売れればコーヒー1杯分、買ってもらえなければコーヒーほどの価値もないことになります。
 これは悲しい事ではありますが、市場原理というものです。
 フリーペーパーの隆盛で、タイプにもよりますがちょっとした印刷物は無料というのが、デフォルトのようになって、けっこう長い時間が経ちました。
 印刷物の価値とは何なのか、と考え込むことはよくあります。
 印刷していなければ、材料の紙として流通するのでしょうが、いったん印刷して汚してしまえば、紙の上に載せた文章なりイメージなりが価値を生む(または失われる)。そう考えれば不思議です。
 読んで見て、おもしろい、ためになる、美しい、便利など、何かがなければ無価値というようなものです。
 考えれば恐ろしい。
 なりなりに努力して創った結果が、コーヒー1杯ほどの価値もないと判定されるかもしれないことですから。
 ラブレターに例えると、好きな人からもらえばそれは宝物でしょうが、そうでもなければ「まぁ好意だけは受け取って、それ以上はゴメンナサイ」と、次の日には燃えるゴミ行き。
 まぁ今どき、スネイルメール(カタツムリの手紙)と揶揄される封書の手紙で恋文を送るなんてことも、あまりないでしょうが……。
 印刷物も同じような気がします。気に入ってほしい、好きになってほしい、せめて1杯のコーヒーほどの価値を持ちたいと労力を費やしたとしても、受け取る側がゴメンナサイということには、自らの非力を恥じ入りアキラメルしか方法はありません。
 印刷物の価値というのは不思議です。なかでも一番の不思議なものは紙幣。
 お札のお金も電子化されるのは時間の問題なのでしょうか。その頃にラーメン1杯はいくらになっているのでしょう?

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