沸騰する日本列島の夏は、SNSでSOSかよ?!

 習慣的に枕元で聴いていたNHKラジオの「朗読の世界」はいつもの文芸作品ではなく、太平洋戦争沖縄戦で陸軍病院の看護要員として動員されたひめゆり学徒隊の少女たちを描いたノンフィクション、宮城喜久子『ひめゆりの少女~十六歳の戦場』だった。
 1945年3月23日、沖縄戦開戦の夜、陸軍野戦病院へと出発したひめゆり学徒隊が、アメリカ軍の攻撃による降りそそぐ砲弾の下で書き続けた日記をもとにしたひめゆり学徒隊の体験を、沖縄県出身の23歳の女優、池間夏海さんが朗読して真に迫っていた。
 沖縄戦は1945年3月26日(慶良間諸島への米軍上陸)から6月23日(日本軍司令官自決)まで、約3ヶ月にわたる一般住民も巻き込まれた日本で唯一の地上戦であり、県民の4人に1人が犠牲となった。
 この前の参議院議員選挙では、沖縄県でのシンポジウムで「ひめゆりの塔」の説明は、歴史の書き換えだと批判した西田昌司議員が再選した。西田氏は「20年以上前に訪れた」記憶をもとにした発言で事実誤認があるとして抗議を受け、釈明したが結局撤回はしていない。かたや、テレビで「核武装が最も安上がりで、最も安全を強化する策の一つ」と述べたさや氏が所属する参政党が大きく議席を伸ばした。
 近年の選挙では、SNS戦略が結果を大きく左右してしまっているが、かつてナチス・ドイツ宣伝大臣ゲッベルスの「嘘も百回言えば真実となる」の有名なセリフが、四半世紀が過ぎた21世紀に新たな衣で蘇ってきているような気がする。 白も黒も言い張れば、オレンジになったりするのだろうか。
 今、キーボードを叩いている8月という月は、6日に広島原爆忌、9日長崎原爆忌、15日終戦記念日、そこにお盆と夏の甲子園等々が重なるので、自分の中に恒例イベントとして軽く流している鈍感さが、全くないなどとはとても言えない。
 しかし昭和100年であり戦後80年の今年は、イスラエルによるガザ地区のパレスチナ人に対するジェノサイド、長引くウクライナとロシアの戦争など、〈戦争〉が現実として目の前に突きつけられているし、唯一の被爆国である日本は核兵器禁止条約には参加せず、核廃絶には及び腰だ。年々沸騰するばかりの日本列島の夏に、熱中症ばかりじゃない不穏さが漂っている。SNSでSOSという事態にならぬよう、ご先祖様に祈りたい。

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