トライポッドスタジオなう。
トライポッドという名前を新聞やコミュニティーラジオで見聞きするようになったのは、今年の春あたりからじゃないだろうか。ネット回線を使って云々――。
彼らを探るべく、引っ越したばかりの事務所に突撃した。
フリーの若きクリエイティブ集団
トライポッドスタジオは会社なのかと思いきや、それぞれがフリーランスで仕事を持つ若き起業家たち。
ウェブディレクターの小坂光輝(こさかみつてる)さん、ディレクターの沼畑武行(ぬまはたたけゆき)さん、アートディレクションの齋藤亨(さいとうとおる)さんの三人で構成されるクリエイティブ集団
。
「トライポッドスタジオはユニット」。小坂さんはそう表現する。
「始めの目的はオフィスシェア。でも、お互いの得意分野を活かして、なんか新しいことをすれば仕事の幅が広がるんじゃないかと思った」始動の経緯を沼畑さんはそう振り返る。
そこで、以前から興味を持っていた動画配信をしようとU-Streamを使い、週一回、動画を生放送でネット配信する試みを始めた。
「U-Streamは、生中継で配信なのでダイレクトに伝えることが出来る。そして、ツィッターと連動させることで直ぐにリアクションが返ってきますから、情報がもっと身近になるんです。まぁ、自分たちが覚えたかったっていうのが先にあって(笑)。覚えたらどう地元に活用していこうかっていう。それには自分たちがやってみなくちゃ判らなかったっていうことなんです。最初は…かなりエラかったけど(笑)」と小坂さんは笑いながらいう。
事務所をスタジオにした、インタビュー形式の生放送が開始されたのは今年の四月。
そこから、取材してきた動画の放送や、ⅰpad購入後の模様を東京から中継するなど、ひとつの情報番組としての形が出来上がっていった。
「こうしたらどうだろうと思うことは直ぐにやってみたいし、やっちゃった方が早い。やりながら色んなノウハウを蓄積して、次に繋げている感じです」
それは今年の八月三日、Be FMとのコラボレーションによる八戸三社大祭の動画配信という初の試みを生み、新たな情報発信ツールとしての広がりと可能性を見出した。
「ラジオは音声だけで映像は見えませんから、それに映像が乗っかった時の強力さ、それを地域の境なしに見られるというのはなかなか凄いことだと思います。小さな組織が自分たちの力で情報を発信していくツールのひとつとしては非常に素晴らしいんじゃないかと。それにBe FMとの放送は、ただの中継じゃなくて音声はラジオの部分をもらっているんで非常に変わっていると思います。動画配信を一個人でやっている人はざらにいますが、番組としては珍しい」
テレビやラジオの放送では電波法による地域の制限があるが、ネット回線の普及や高速化に伴い、ネット回線による全世界への動画配信が可能となってきている。
また、生中継された映像は録画され、後からネットで観ることが出来るというのもU-Streamの利点の一つ。
情報を繰り返し観ることが出来る。
「観ているほうも選択肢が増えると思うんです。今まで一方通行だったものが、ネットを通せばツィッター等と連動して双方向で意見しながら観られる。だから、情報や面白さだとかが生の状態でダイレクトに来る。多分今後、需要はどんどん出てくると思います」
ネット回線を使った動画配信による可能性を沼畑さんはそう語る。
また、i Phoneやⅰpadの登場により、動画配信やデジタルはもっと身近な情報発信ツールになっていくだろうと。
それはライフスタイルの変化にも繋がっているのだろうか?
小さい地域から挑む新しい情報発信の仕方
「パソコンや携帯電話が直感的に使えるようになって、デジタルというものの距離がすごく縮まった気がします。専門的だったものが、誰もが触れる環境になって自分の好みの情報を発信したり持ち歩いたり出来る。すごく身近な流れになってきて、知らないうちにデジタルと繋がっている環境になってくるんじゃないかなと思います」
その変化を実感していると齋藤さんは言う。確かに・・・携帯の普及率や回線のクオリティーは格段に進化し、ホームページからブログへ、そして、ツィッターへと発信元が個人化してきている。
知らず知らずのうちに、ネットから情報を受け取ったり発信したりということが日常の中に既に浸透してきているように思う。
これから更に進化していくだろうネット配信を、彼らはどう活かそうと考えているのか。
「U-Streamとか、動画配信をどう事業化するかですね。ただ、情報を流すんじゃなく、それをどう活用して地域活性していくか。そのビジネスモデルを作りたいですね。例えばホームページにU-Streamなんかで動画を配信して、そこ自体に人が集められるようになれば、広告としての事業が成り立ちますし、あとはその地域の発展のために何かしらプラス結び付けられれば更に大きくなるかなというところですね。またそこに雇用も生まれてくると思うんです」
かなり具体的なヴィジョンを持ちつつ、今は先を見据えた新しい動きを作ろうと模索中の段階と沼畑さん。
「遊び的要素は崩したくないんです。こちらが楽しくやらないと、見ているほうに楽しさ、面白さは伝わらないと思うんで」
トライポッドの発信力と発想のツボは沼畑さんのこの言葉に集約されているようだ。今後の動きに目が離せない。
『トライポッド』は英語で三脚のこと。
数字の3を左右で合わせると無限大。
それぞれの力を集約し、様々な可能性を広げ、繋いでいきたい。
それが――『トライポッドスタジオ』
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。