菜膳わたすげ ふるさと昔料理 その三
ほど焼き
棒鱈と寒大根の煮つけ
黒豆の煮豆
春、農家の朝は早い。夜明けとともに仕事を始め、朝7時には「こびりっこ」(おやつ)。
田や畑の土をおこす今頃は、秋・冬の蓄えを大切に食べる。
畑で初物がとれる梅雨明けまでは、まだ間があるのだ。
家々の軒下には味噌玉・寒大根・鱈・凍み豆腐が下がっていた。
ある一家が作業の手を休め、焼きたての「ほど焼き」を頬張る。
小麦粉や米粉の生地に、くるみ・味噌・砂糖・白ごまを混ぜたあんを入れ、秋から乾かしておいたホオの葉でくるみ、囲炉裏の灰の中で焼いたものだ。
肉まんとパンの中間のような食感。灰を落として食べる。
この「ほど焼き」、由来は諸説ある。
灰が「ほどる」=暖まる様子から。囲炉裏の「ほどり」=端で焼くから。
灰が冷める頃「ほど」よく焼けるからと言う人も。
そこに棒鱈と寒大根の煮つけも出た。
貴重なたんぱく源の鱈は、さまざまに調理して食べる。
溶けたり凍ったりして甘味が出た大根に、鱈の旨味がしみる。
さて、もうひと頑張り。一家は各々の持ち場へ急ぐ。冬の蓄えから力をもらい、春の日差しに包まれて、大地を起こすために鍬を振るう。
めぐり来る、実りの季節に想いをはせながら。
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