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●祝!B−1ゴールドグランプリ受賞●夢はコナモン 汁゛食(じるく)ロードの旅!  熊谷 真菜(日本コナモン協会)   ×木村 聡(八戸せんべい汁研究所)

コナモンは地域活性化のツール

昨日の教室(※⑤)で久しぶりにお好み焼きを焼いたんですが、思った以上に手間がかかるんですよね。関西の方って忍耐強いんだな、と。びっくりしました!

木村聡さん

熊谷

関西人は、美味しいものを食べるためには手間を惜しまないってのはありますね。

大阪人と八戸人ではたぶん、人の性質も違うし、それほど接点もないように思いますけど、北のコナモン博覧会を始めた具体的な経緯というのは?
木村

大阪でお好み焼きとかたこ焼きとかラーメンとか、コナモンの食べ歩きの企画をやっていらっしゃる熊谷さんにお会いして、僕は八戸もすごいコナモン地帯だって思ったんですよ。〈南部せんべい〉もそうだし、〈へっちょこ団子〉や〈まめぶ〉、〈ひっつみ〉に〈かっけ〉、コナモンの宝庫なわけだよね。今まではそれぞれ別々のものとして食べてたけど、コナモンでひと括りにすれば、地域をアピールしていけると。ブランド化すれば、これを食べるためにたくさん人が来てくれたり、八戸の人が食べに行ったり、交流が始まる。地域が元気になるわけですよね。だから大阪のコナモン博覧会をパクって、北のコナモンをやらせてくださいってお願いしたんです。

熊谷

もう、どんどんパクってください(笑)!

木村

で、僕ら、コナモン博覧会をやる前に、まずは本場の大阪に行って。2泊3日でずーっとたこ焼き屋やお好み焼き屋を回って勉強させてもらいました。

それぞれ個性のある地域の食文化を大きくまとめられるのが〝コナ〞だったということですね。
 現在は3回目の北のコナモン博覧会も終わり、「北のコナモンフェスティバルin八戸まちなか」も開催されました。これからの展開は?
木村


ザイケ真幸堂

参加店180軒を制覇した人もいるけど、そこまで行ってみようって人はまだ少ないし、知らない人も多くて。『コナモン』って何か、分からない人がまだまだ多いんですね。だからやっぱりもっと伝えないと。そのために北のコナモン博覧会は続けなきゃならない。最低3年はやるって言って始めて目標どおりできたので、あと5年、10年と続けたい。まだ埋もれているコナモンもあるはずだから、掘り起こしながらね。実は長野では北のコナモンより早く活動を始めて(※⑥)今も続いているんですよ。

熊谷

長野は6回目のフェスティバルになりますね。長野は小麦粉の消費が日本一なんですよ。

木村

お焼きとかあるでしょ、そばだって長野だし。あとは、小麦の生産地の北海道にもコナモン文化はあるはずだよなぁ…。今までは単独でやっていたけど、今はネットワークがあるから、北のコナモンと長野のコナモンのタイアップとかもできる。これから新たなコナモンの地が出てきたら、日本全体で大きなムーブメントが作れるんじゃないかなって。

B‒1グランプリを作ったように?
木村

将来的にはね。B‒1とはまた違う、町を元気にするツールになっていくんじゃないかな。


熊谷

B‒1の場合はどちらかというと、最近は創作メニューもあるし、戦後に町工場の周りで発展したようなものがわりとメインになっているんですけども。私が今すごく興味があるのは、もっと古くから家庭に代々伝わるコナモンですね。たとえばひっつみにしても、お家によって形とか、味も粉のゆるさも違うんですね。家の中のものってお嫁さんがやらなければ途切れてしまう。家に伝わる味を復活するって、地味な作業なんですよ。すごく手間はかかるし、見た目も彩りがなかったり、味も、インパクトだけの現代の味付けとはちがいます。噛めば噛むほど美味しい、という渋い味わいもありますが、それこそが食文化なんです!また今の時代にも通じるユニークな食感もいっぱいあるんですよ。そういう家庭に伝わるコナモンを再現させたり、商品として復活するのが、私のやりたいことなのかなって、最近思っているんですね。

家庭のコナモンに注目していると。女性らしい視点ですよね。
熊谷

レシピじゃ伝えきれないものがいっぱいあるので、一緒に作るということ、手作業の良さっていうのもすごく大事にしたいと思います。今、震災の影響でそういうことに気づき始めている人もいますよね。でもなかなか大きな流れ―大量生産・大量流通みたいなものには勝てない。私はどっちも残したいんです。大きな流れも必要だし、手作りの世界も必要だなと。
 でね、〈豆しとぎ〉ってあるじゃないですか。あれも家ごとの味があって、それぞれ味も素材の分量も違ってて楽しいですよね。

〈豆しとぎ〉。南部地域(青森県南、岩手県北)の伝統的なお菓子ですね。米粉に、つぶした豆を混ぜて固めるっていう素朴なものですが、各家庭の味があります。作る人によって甘いのもあれば、しょっぱいのもありますね。
熊谷


サバップル

7年目に入るんですが、大阪で吉本の末成由美さん(※⑦)と一緒にラジオ番組をやっていて。豆しとぎをテーマにした回では『肴町のわが家』の貝吹さん(※⑧)と電話をつないで、豆しとぎを送ってもらって食べました。そのときに由美さんが豆しとぎのファンになって、「これは美味しい!」って。「八戸に行きたい」って言うほど感動してくれたんですよ。ある種、美容食というか、究極の健康食みたいな味なんですよね。材料は今までの豆しとぎと同じで、粉は米粉なんですけど、お砂糖は全然控えめ。全体で1kg、そのうち青豆が400gで、お砂糖もちょっとしか入ってなくて。でもすごく美味しいんですね。栄養的にもいいバランスだと思うんですよ。今までのものをそのまま受け継いでやるんじゃなく、みんなが「おっ」と思えるようなものに作り直して、うまく流通するような流れができたらいいなって。豆もいちいち薄皮むいて、すごい手間をかけているので、よけいにそう思う。

最近、私も豆しとぎに注目してます。六戸町の新戸部精米所さんというところに作ってもらったのがすごく美味しくて、色もきれいで、豆しとぎを見つめなおすきっかけになりました。熊谷さんは、豆しとぎをどのように召し上がっていますか?
熊谷

私は軽くあぶって焦げ目をつけてます。生でもいけるんですけど、冷凍してあるものを持ち帰って食べるので、焼いてますね。

木村

ちょっと薄くね、5㎜ぐらいに切って焼いて、最後に醤油をたらーっと。お菓子のイメージですけど、おつまみとしても食べやすい。おつまみで出しているお店もありますよ。

焼くともっちりしますよね。中に入れるものやトッピングを変えたり、粉の配合を変えるのも面白いかも。アレンジの幅が広そうですよね。
熊谷

ふだん枝豆くらいしか食べないけど、豆しとぎのような形になっていると、枝豆の新しい食べ方新発見ですよね。もうひとつ大切なことは、美味しいコナモンやすごいコナモンのかたわらには、必ずすごい人がいるってこと。面白かったり、マニアックだったり、タイプはいろいろなんですけど、そのお一人が木村さんですね。結局、人は好きなものに愛着をもって「これがええねん」って伝え続けるのがいいんですよね。そういう人たちのネットワークが広がっていければいいなって。私はただ食べるだけなんですけども(笑)。

木村

コナモンそれぞれに誕生した理由があるんですよね。なぜ生まれたかとか、なんで食べ継がれているのかっていうストーリーも大事にしなきゃいけない。それと、コナのいいところは新しいものをどんどん取り込んじゃうってことですよね。せんべい汁とか豆しとぎとかあるけど、それを〈鉄板せんべいピザ〉にアレンジしてみたり。パスタとか外国の文化も取り入れながら、食べやすいように工夫していっている。だから100年後の人から見ると、今の新しいコナモンもずっと食べ継がれてきたコナモンになっているんだと思うよ。

※⑤国民的グルメ漫画「美味しんぼ」100巻に、木村さんが登場。作品中では南部せんべいやせんべい汁が紹介された
※⑥『ながの・コナモン・フェスティバル』は年1度開催中
※⑦吉本新喜劇のベテラン女優、末成由美さん。大阪市中央区のコミュニティFM局「YES-fm」で放送中の「オコタコRadio」で、熊谷さんとともにパーソナリティをつとめる
※⑧八戸市中心街にある家庭料理とせんべい汁のお店「わが家」。おかみ・貝吹憲子さんの笑顔も魅力のひとつ


ザイケ真幸堂

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