ポール佐藤の「まちの音まちの色」第7回
宅配便で葡萄が届いた。冷やして皿に載せたら、大きな粒は瑞々しくて美しくて、思わず丸ごと頬張った。皮付き種ごと飲み干した。なんておいしいんだろう。
例年にない暑さの中、慌しく過ごしていたけれど、遠方の友人からの贈り物は、季節が変わりつつあることを教えてくれた。夏が終わったんだね。
人は誰でも年齢と同じ回数だけ夏を経験する…当たり前だけど。あれは私の二十七回目くらいの夏だったろうか。仲間と深夜の種差海岸にギターと太鼓を持ち込んで、月明かりの下、海に向かって歌った。
水平線に叫んでも声は返ってこないし、ギターも風の音にかき消され、自分たちのあまりの存在感の無さにがっかりした。おまけに浜菊か何かにかぶれて、腕が痒くなるし。
その後海岸で練習はしていないが、ギターの弾き語りはやめなかった。何事も十年二十年と続けていればそれなりに身につくもので、ここ数年はアマチュア音楽家として人前で演奏する機会が増えた。
ポール・マッカートニーにあやかった私の芸名しか知らない友人の方が多くなるなんて、種差海岸で腕を掻きながらギターを掻き鳴らしていた頃には夢にも思わなかった。
気がつけば八戸は、ホコテン、七夕祭り、三社大祭、八戸ポータルミュージアム『はっち』の企画等々、市民が音楽で関われる機会に溢れていて、発表の場に事欠かない。
今年は暑い夏だったけど私の音楽も熱かった。今年よりも熱い来年の夏、更に熱い次の夏と、いつまでも歌い続けよう!
夏、夏、夏、夏、ココナッツ♬。
葡萄を食べながら口ずさむ。
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