パンク2020

本のタイトルに刺激されてブレイディみかこ『女たちのテロル~生きる主権は我にあり』を読んでみました。
イギリスの女性参政権を求めたエミリー・ディヴィソン(1872-1913)、英アイルランド独立を求めたイースター蜂起の凄腕スナイパー、マーガレット・スキニダー(1892-1971)。
そして戸籍も与えられないまま虐待、貧困という境遇にあって自らの生を全力で生き関東大震災後、朝鮮人の恋人と共に検束、大逆罪で死刑宣告された日本の金子文子(1892-1971)。
不勉強ながら誰も知りませんでした。強烈な生き方で、お花畑を二日酔いでふらふら歩いているような我が身には気付け薬のような本でした。「ボーッと生きてんじゃねーよ」のチコちゃんが大人になって書きそうな本です。日本の女性参政権が得られたのはたかだか70年少し(戦後1946年4月)だと知らず、「小泉進一郎さんが入閣したわね」とか、「育休取れるかしら」と言って選挙には行かない日本人の何と多いことか!……などと揶揄する資格は、私にはありません。
著者のブレイディさんがパンクファンということから、パンクとは何かを感じさせるエピソード。写真家のハービー山口氏がロンドン滞在中、地下鉄に乗ってると向こうの座席にザ・クラッシュのジョー・ストラマー。ドキドキしながら「写真を撮ってもいいか?」と聞くと、彼は快く「いいよ」と。揺れる車中で夢中になってシャッターを押したそうです。次の駅で降りる際にジョー・ストラマーは「撮りたい時は、いつでも撮るんだ。それがパンクだぜ!」と言い残したというのです。それから写真家とミュージシャンの交流が始まったとか。
「わたしはわたし自身を生きる」と言い切った金子文子の鮮烈さが残っています。

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