天国も地獄もなく、空があるだけ

現時点だからこそ、ようやく下火になってきた感のある(油断はできないものの)新型コロナ禍とか、ロシアのプーチン大統領が始めたウクライナ戦争が2月24日、参院選直前の7月8日に起きた安倍元総理の銃撃死亡事件、ソビエト連邦最後の大統領で東西冷戦終結の立役者であったミハイル・ゴルバチョフ氏が亡くなったのは8月30日、そして9月8日に96歳で亡くなったエリザベス女王2世。
ほぼ3年間のコロナ禍でソーシャルディスタンスに象徴されるように余儀なく変化させられる生活スタイルやら、21世紀になってなお過去の亡霊が復活してきたような「本物の」戦争の最中にあって、これらの人々の死というのは、どうしても時代の節目のように思えてなりません。
来るべき時代はユートピア(理想郷)なのかディストピア(暗黒世界)なのかと考えるに、人類の歴史が教えているように、完全な形でどちらかが実現するわけではなく、良いことも悪いことも抱え込みながら「進歩」していくのだろうと思います。
「天国も地獄もなく、ただ空があるだけ、今を生きているだけ」と歌ったジョン・レノンが暗殺されたのは1980年。すでに40年が過ぎました。
ある経済誌のコラムでオリックス・グループの宮内義彦さんが「『失われた10年』どころか、『失われた40年』に向けて片足を突っ込んでいる」と話していました。もちろんそれは経済や政治に向けた話なのですが、妙な実感があります。
1980年以降のバブル生成と続く崩壊から現在に至る道筋はひと連なりです。その間に日本列島に生きる私たちたちは、何を得て何を失ったのか。「調査」しないまでも、せめて「点検」したいなぁ。
個人的には、コラムニストの小田嶋隆さんが6月24日に65歳で亡くなられ、もうあの切れ味の鋭いコラムの新作が読めないことに強い喪失感が未だにあります。

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