アイこそすべて…愛 or AI?

森下典子さんのエッセイ『日日是好日-「お茶」が教えてくれた15のしあわせ-』(2002年)を原作に、茶道の奥深さを描いた映画『日日是好日』(2018年 監督:大森立嗣・出演:黒木華・樹々希林・多部美華子)を観て、日本の季節のうつろいと暮らしというものがていねいに映像化されていたので、茶道にも書道にもほぼ縁もない輩にとって、とてもうらやましいような憧れのような気分をい抱いた。ずいぶん味気なく粗雑な自らの日々に対して反省のような気分も起こった。
その中で茶道教室に掲げられている書額「日日是好日」に強く惹かれた。調べてみると書いたのは、映画の撮影時に小学6年生だった中西凜々子さんだという。とてもこんなふうには書けないなぁと心底思ったことがあって、少しばかり書道も気になっていた。
そんな折、たまたまテレビで、七戸町立鷹山宇一記念美術館で「Art to You! 障がい者芸術世界展 IN SENDAI 2024」の移動展(2024年10月26日~11月17日)開催というニュース特番が目に入り、紹介されていた一枚の書「空」にも同じような感動があった。その時は、テロップの作者名とかは知らなかったわけだが、八戸の書道教室に通っているということらしい。
えっ、八戸? 迂闊なことに、四半世紀以上も活動歴のある西里俊文さんの俊文書道会をそれまで知らなかった。
知的障がいのある松江さんは15歳から書道を始め、書道歴は20年間にもなるという。「ジャンプして書くんです」というので、どういうこと?と思っていたけれど、確かにジャンプして筆を下ろしていた。必ず「何点?」と先生に訊いてくる。「100点、いや120点かな」と応える。
階上町道仏中学校の生徒たちの書道を見て連想したのは抽象表現主義の画家ジャクソン・ポロックのアクション・ペインティングだった。
AI時代の人間の生活がどうなっていくのか、ずっと気になっているのだが、人工知能も書道を行うのか? どうやら今のところは、AIは書を苦手としているようだ。
手元になくて確かめられないが、雑誌『BIG ISSUE』でロックミュージシャンのニック・ケイブ(実は聴いたことがない)の話は、とても示唆に富む。「AIはものすごい速さで進歩していて、今でも自分(ニック自身)よりニック・ケイブ風の音楽が作れるかもしれない。でもそこには内的必然がない」。
「世界は愛を求めている」が、AIは愛になれるだろうか?

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