月日は超高速の新幹線

「待て!」と言って待ってくれないのが、時間だね。「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり」(松尾芭蕉『奥の細道』)というものの、昔の旅はせいぜいが鈍行列車で各駅停車。それが特急になり、今は新幹線ですからね。人生も超特急で小さな駅はすっ飛ばしてしまって、旅の風情、情緒も何も味わう余裕がない。
名作『男はつらいよ』が第50作『帰ってきた寅さん』で、帰ってきました。元日早々、観に行きました。第1作から50年目で、第50作。前作が1997(平成9)年ですから実に22年ぶりの寅さんです。
「俺がいたんじゃ、お嫁にゃ行けぬ♪」とおなじみのオープニングシーンで歌うのがサザンの桑田佳祐さんで、恥ずかしながらそれだけで嗚咽しそうになりましたね。ちょっとしたことで嗚咽してしまうとイラストレーターのみうらじゅんさんも言っていましたが、サングラスがトレードマークの人はいいなと真剣に思いましたね。
寅さんシリーズにあって、今見つけにくいものは、何かと思うと「故郷」「人の暮らし」かなぁ。
作家の高橋源一郎さんがラジオで語っていた「地べた感」という言葉が胸にずっと残っています。もし自分自身がこだわっていることがあるとすれば、おそらくそれだろうと思ったのでした。
「地べた感」と「縁」、若ければ忌み嫌ったであろう言葉が重みを帯びます。「そういう年代だもんね」と一笑に付されました(悲)。

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